志葉玲さん主催の難民勉強会に参加_レポート

実際の言い回しと違う部分があるのはご容赦ください。
わーっと必死に取ったノートのただの書き起こしですが、聞き入って手が止まってしまったところは内容抜けてます。(意味ない)


織田さん
私がこういう活動を始めたきっかけは2004年(今から14年前)の青山の国連大学での座り込みデモだった。
クルド難民12人2家族が72日間、難民認定を求めて座り込みのデモをやっていた。
その中には5歳と2歳の子どももいた。
結局日本にはいられなかったが今は別の国で暮らしている。

志葉さん
難民とは、紛争地で迫害のおそれがある人が庇護を求めること。
日本の難民認定は絶対毎年100人以下、10人しかいないとかはざらにある。
2016年の日本の難民認定者数はたったの28人。
それ以外の申請者は紛争地の故郷に強制送還したり、いつ出られるかわからない状態で収容したりしている。
日本は拷問禁止委員会などからたびたび是正勧告を受けている。

注釈
*1
*2

法務省は、「日本で難民申請している外国人はほとんど就労目的のニセ難民だ」と言う。
UNHCRの報告などで深刻な人道危機にある国や民族、イラク、シリア、コンゴロヒンギャなどの人も拘束してしまう。
最長で5年、早くて2、3カ月。
収容は不当拘束である。

織田さん
中には本当の犯罪者もいるが、ほとんどの人は犯罪者ではない。
今の法務省は全件収容主義の立場を取っている。
面会時間は長くても30分まで、家族とのハグもできない。
例えばイギリスの収容者の面会はかなり自由で、壁もない、面会の時間もずっと長い。
日本の収容所は5畳、6畳の部屋に数人入れられている。
一応フリータイムという時間があり、その時間は共有スペースで他の部屋の人と話ができる。

2002年、アフガニスタンの難民が自死した。
その人は仮放免になって収容所からは出られていたが、また捕まるのが怖くて恐怖で自死を選んだ。
入管は、自殺未遂した人を懲罰房(独房)に閉じ込める。
入管の中では医者ではない人が収容者に痛み止めを出している。
化粧水、乳液は持ち込み可なのに、薬の持ち込みは認めていない。
職員の言い分としては「悪意で毒が持ち込まれたら危険だから」
言い訳としか思えない。
カルテを改竄までして病院に行かせないことを正当化している。


志葉さん
入管には人権問題がてんこ盛り。
犯罪を犯して刑期を終えた人を捕まえて収容したりしている。
二重に刑を科している。


織田さん
いつ出られるかわからないというのが、収容者の心理的負担の大きいところ。
収容所の中で病気になったら医療が受けられない。
受診を申請しても2~3カ月待たされる。
収容所を出て受診できても手遅れで亡くなった人もたくさんいる。
中でくも膜下出血で亡くなった人もいる、その人も放置されて亡くなった。
痛くてがまんできず叫ぶと職員に「うるさい!」と言われ独房に入れられてしまう。
手術で抜糸しなければいけないのに、「抜糸は自分でやれ」と職員に言われた人もいる。
職員はカルテも改竄してしまう。
ある人は「もうこれ以上日本人の妻に迷惑は掛けられない」と死ぬつもりでシャンプーを飲んだ。
病院に運ばれて一命を取り留めたが、戻ってきたあと独房に5日間入れられた。
独房とは懲罰のための部屋で、収容者には「スペシャルルーム」と言われている。
トイレ付きの3畳の部屋で、電話は禁止、フリータイムもなし、面会だけはできる。
彼は独房に入るにあたって、職員に「貴金属は危ないから」と腕時計と結婚指輪を取られた。
「結婚指輪だけは取らないでくれ」と必死に頼んだが、聞き入れてもらえなかった。

日本人と結婚していても収容される人が多い。
この間面会した人は自傷していて、鉛筆削りの刃で自分の体全体を切り刻んでしまっていた。


志葉さん
彼は勢いでやったらしい。
仮放免申請がだめになって、考え込んでいるうちに急にカーっとなってやってしまった。


織田さん

私が面会したときはショックを受けないように首の傷を隠していた。
彼は病院で7針縫ったあと、懲罰房に入れられた。
自殺未遂が後を絶たない。

メディアもほとんどこういうことを報道してこなかった。


食べ物も腐ったものが出るというと、よく「納豆でしょ」などと言われるが、日本の食生活に慣れている人も多く、発酵食品との区別は付く。
納豆ではない、本当に腐ったものが出てくる。
虫も混入している。
サラダの中には虫、コロッケの中には小石。
コロッケは毎日出される。
髪の毛もよく出てくる。
たくさんのブロックの人から聞く話。
食事の内容も偏っている。ここに来てから湿疹が出たり、皮膚病になったりする人が多い。
容器も洗っていないことがあるようだ。
なぜかサプリメントは持ち込みOK。

持ち込み物、色鉛筆は大丈夫だったがクレヨンはダメと言われた。
職員にだめな理由を聞いたら「もし顔にかいちゃったら大変じゃないですかー?」と言われた。
意味がわからない。
他にもストレッチパンツは首を絞めてしまうのでだめとか。


志葉さん
自分はジャーナリストなので情報の裏を取るために入管に問い合わせするが、「個別の案件には回答できません」と毎回回答を拒まれ、なかなか裏が取れない。

三者機関が抜き打ちで監査しないとだめ。


織田さん
子どもはどの国の難民になるか選べない。
生まれてくる国も選べない。
全部親の都合です。
日本に連れてこられて日本で成長していくのも子ども自身の選択ではないです。
苦労するのは子ども、中には親が収容されてPTSDになる子もいる。
赤ちゃんだったらお父さんが長期収容されていたらお父さんの顔を忘れてしまうということもある。
面会は3時締切、平日のみなので、子どもたちは学校を休んで面会する。
学校で習字セットやお道具箱がない、休みがち、こういう理由で学校に居辛くなってしまう。


メルバンさんもパニック障害になり、大嫌いな人には攻撃的な言動になっていた。
高校受験もして受かったが途中でやめてしまった。
メルバンさんは22歳のとき収容された。
メルバンさんは小さい頃日本に来たので日本しか知らない。
トルコにいたときのことはもう覚えていない。
今から6年前、メルバンさんはパニック障害になった。
いつも怒鳴ったりして荒れていた。
織田さんが面会したときはやつれ果てていた。
名前も顔も出していいからこの辛さを伝えたい、とのことだった。
入管の職員には「犯罪者のくせに」「バーカ」とか言われていた。
Twitterで「#FREEMEHRIBAN」の運動が広まってきたとき、「FAX迷惑なんだよ」「やめさせろよ」とメルバンさんのせいにされた。
織田さんもFAXや電話での抗議活動を全部止めてしまおうかどうか迷っていたが、メルバンさんには「このまま止めないで続けてください」と言われた。
織田さんに知らない人から連絡があり、スタンディングや署名活動などの運動が広がっていった。
収容者から着信があっても、こちら(入管の外側)からは連絡できない。
メルバンさんの二度目の仮放免がだめになったとき、織田さんは全部やめてしまおうかと思ったが、Twitterで「やめない」と呟いた。
入管に対するささやかな挑戦だった。

そのあと3回目の仮放免申請はすぐに通った。


とあるカメルーンの女性は1カ月住所変更の申請が遅れただけで1年7カ月収容された。
病気が見つかりすぐに検査したら乳がんだった。
今はその人とは連絡が取れないので、どうなったのかはわからない。


外に出たけど間に合わず病気で死んでしまった人がいる。
収容者が病気で苦しんで叫んでいても職員は写真を撮っているだけ。

VISAのない人は住民票がない。
免許証が取れると辛うじてそれが身分証明書になる。

何度も何度も試験を受けて免許証が取れる人もいるが、取れない人もいる。


数年前、世界難民の日のパレードで、国連大学をゴールにしようとしていたが、ちょうどバザーをやっていて、大学の警備員が「寄るな寄るな」という仕草をしていた。
仕方なく、建物の外から大声を出していた。


メルバンさんの仮放免のときの動画より
「支援に本当に感謝しています」
「これから一生懸命勉強します」
トルコ語、クルド語、日本語がわかるのでそれを活かしたい」


志葉さん
本当は今日ここにメルバンさんに来てもらえたら良かったんですが、移動のためにはまた入国管理局の許可が必要になる。
仮放免されたばかりのメルバンさんにまた入管で手続きしてもらうのはあまりにも酷なのでやめました。


織田さん
メルバンさんは高校生のとき、入管に嫌味を言われた。
「どうせ大学なんか行けないよ」
「勉強したって意味がない」
そういうことがあって、途中で勉強をやめてしまった。


入管は結婚している人を別れさせようともしてくる。
妻を呼び出して「私も家族がいるからねー、分かるんだけどねー、本当に彼のためを思ったら国に返してあげた方がいいと思うよ」
本人にも「国に帰りなよ」
「私の妻も日本にいるし、自分の国も危ない」と反論されると
「他の国に行けばいいじゃん」と言うが、そのまま他の国に逃がすようなことは絶対しない。


志葉さん
クルド人は世界最大の少数民族、30万人ほどいて、独立を求めている。
第一次世界大戦で欧米列強に国を割かれた。
独自の文化、言語を持っているために各国で迫害されている。
トルコの中で例えばピースサインをすると、その指2本を切られてしまう。
クルド人はトルコの中で政府批判はできない。
トルコ政府はクルド人自治区の町をを掃討作戦で壊したりしている。
クルド人には兵役も課せられている。
兵役についたらクルド人ゲリラと殺し合いをすることになる。
それでもトルコ籍のクルド人はいままで一人も難民認定されていない。
これは法務省の建前が関係している。
法務省難民認定を民族ごとではなく、国ごとに考えている。
法務省の本分は治安維持であり、対テロという側面がある。

また、日本とトルコ政府は対テロの面で協力関係にある。


難民問題に詳しい人が言うには「難民認定を入国管理局にやらせているのが間違い」
法務省の人権関係の部署にやらせたら良いのでは?

 

織田さん
助け合いとか、現状を知ってもらうことが一番大事だと思う。


志葉さん
入管、法務省もメディアのことを気にしている。
心ある議員さんもいて、山本太郎さんが国会でいろいろ突っ込んでくれて、法務省もおたおたしていた。
有権者が声を上げていくことが大事。


織田さん
難民の中には10年、20年と苦しんで「この人生は無駄だった」と語る人が少なくない。


志葉さん
日本の難民認定がなんでこんなに難しいのか、一つあるのは難民条約の法務省の解釈に問題があること。
難民とは、ざっくり言うと亡命者、暗殺されそうになった、殺されそうになった、拷問を受けたとか、世界情勢を考えると本当に殺されてしまう人。
世界はそういう紛争難民を受け入れている。
そこにいたら武装勢力に狙われて殺されてしまう、特定の宗教の人は殺されてしまう。
例えばヤジディ教徒とか。
欧州はそういう解釈でやっている。
日本は認定に10年とか掛けてちんたらちんたらやっている。
対立する民族の人を通訳に付けてしまったりもする。
時代遅れのやり方。

挙句の果てには数字を改竄して、難民申請する人自体を少なく見せる、そういう文化が法務省にはあるのかなって思ってしまう。

 

織田さん
改竄の件を4階の総務課に聞いたら、「誤報はあります」と言う。
詳しくきこうとしても「個別のケースには答えられない」「調査中です。」
あとは押し黙る。


入管は自由にやってます。
彼らは公務員だし、ちゃんと我々に説明できるようでなければならないと思う。
正しいと思っているなら何も隠さなくて良いはずなのに、どうして隠すの?
公務中の公務員なのだから写真も撮られて当然なのに「写真はだめです」などと言う。
向こうは織田さんのことを写真に撮ってくる。
これはおかしいのでは?


志葉さん
今後の展望を離したいんですが、ずばり、どうしましょう?


織田さん
今の入管を変えていきたいというのもあるけど、今の入管は解体しないと。


志葉さん
入管解体!
システムが間違っている。
入管に難民認定をやらせるのは無理だろう。
内部に新しく部署を作るのか、難民(移民)受け入れ局を新たに作るとか。


織田さん
小さい頃親と一緒に逃げてきた人が大人になると拘束されてしまう。
メルバンも「他の子に同じ思いをさせたくない」と強く願っていた。
日本語ネイティブの難民もたくさんいる。


志葉さん
この問題についてはアメリカのDACAという制度が参考になるのではないかと思う。
*3
オバマ政権のときにできた制度で、ドリーマーというのはDAKAに登録した人達のことを指す。
アメリカは移民をこんな風に応援していて日本とはだいぶ違う。
日本も難民のことを考える時期に来ている。


質疑応答より
織田さん
品川駅では年度末、予算消化の時期になると、外国人の不法滞在者の取り締まりをやっている。
特にアジア系の人の取り締まりをよくやっている。
「任意でしょう?」と言っても「でも外国人だから拒否権ない」と取り合わない。
入管に行ってVISAの延長申請をするために来ているのに、わざわざそのVISAを見せさせて捕まえるということをしている。


彼らは融通が利かない。
古い官僚のやり方でやっている。
良くしていこうということができない。
VISAを出したくないんでしょうね。
日本を出て、第三国に行けた人も中にはいる。
カナダの申請が通ってOKが出たのに日本が出国を認めない、ということもあった。
IOMという申請手続きを手助けする団体が支援した。
やっと出国許可が降りたら、2週間のうちに出ていってください、と。
とにかく職員はやる気がない。


過去、入管が強制送還しようとして被収容者を押さえつけて殺してしまった事件があった。
裁判になったが、「職員が押さえつけようとしたときはすでに持病で亡くなっていた」という訳の分からない判決が出た。
密室なので公の場で裁くのが難しい。


警察が中に入って立件する、ということ自体が少ないし、立件されて職員が処罰されたことはいままで一度もない。
殺人について、入管ほど守られている施設は他にない。
遺族が裁判を起こしても勝てたケースがない。
明らかに縛られたり、床に叩きつけられた傷があっても絶対に勝てない。
収容されている人は怖いから裁判を起こせない。
代理で裁判するような制度も欧米にはあるけど、日本にはない。
例え一審で勝てたとしても、二審以降で絶対に覆される。
現在カメルーンの方が裁判中なので動向を見守りたい。


志葉さん
難民認定についてはUNHCRのガイドブックを読めとしか言いようがない。
入管、法務省は独自解釈している。
ちゃんとそこに聞いてそこに従えば良い。


織田さん
今必要なことは、全件収容主義をやめて、収容代替措置を取ること。
難民と思わしき人は収容しない。
そして、仕事をさせる。
家族をかかえていてもお父さんは自分で稼げない、これは屈辱ですよ。
自分で働きたいですよ。
そして子供には保険証を。


志葉さん
今、企業が難民を受け入れるなどの措置が試験的に始まっている。